ヴァイオリンカフェ

ヴァイオリンという楽器について、主にその誕生について調べています。

ヴァイオリン誕生の秘密にせまる3冊+1 (その2)

 ヴァイオリン製作とドイツの製作者に関心のある方はぜひ!

 

「ヴァイオリン」

無量塔 藏六著

岩波新書 E58

 

著者はドイツでヴァイオリン製作を学び日本人として初めてマイスターになりました。

ドイツでマイスターというのは国家資格で、その道の名人や巨匠に対する単なる尊称ではありません。英語ならマスター、イタリア語ならマエストロですが、日本語になるとそれぞれニュアンスや使いどころが違ってしまいますね。

ドイツではこの資格がないと自分の店を持ったり弟子をとったり出来ないそうです。

 

この本で著者は、製作者としてヴァイオリンの構造や材料、製作について自身の経験なども交えて解説や考察をしています。「ヴァイオリンに用いられる材木 (1) 」「力木と魂柱」「装飾細工の話」「ワニスについて」などなど。

これを読んでヴァイオリン製作に関心を持ったり、製作家を志したりした人は少なからずありそうです。

 

ただ、それだけではありません。

 製作関連の内容ばかりではなく「名匠の遺跡をたずねて」「四弦による五度調弦楽器の開眼」「ヴァイオリンの製作地」「ミッテンワルド」「マイスター制度」「日本のヴァイオリン制作史」など興味深い章が並んでいます。この辺りの内容は他のヴァイオリン関連の書籍ではあまり見られないものではないでしょうか。

 

著者はあとがきで自身が「〜ドイツびいきになっていると思います。その点、お許し願いたいと思います。」としていますが、ヴァイオリンやその製作者製作地についての記述は ( 少なくとも日本語で読めるものに関しては ) イタリア中心であることが多いので、ドイツ語圏の情報は貴重です。

ヴァイオリンの誕生がイタリアだとしても、弦楽器製作の歴史においてドイツは重要です。初めて弦楽器製作者のギルドが出来たのもドイツです。ヴァイオリン誕生前夜のこと、誕生の背景を考えるにあたってアルプス以北の地域のことを抜きにはできないと思います。

ドイツびいき、ありがとうございます!と言いたい1冊です。