ヴァイオリンカフェ

ヴァイオリンという楽器について、主にその誕生について調べています。

アマチュア楽団あるある話?

コーヒーブレイク

 

憧れていたヴァイオリン思いきって始めました、という方

結構いらっしゃるんですね。

大人になってから楽器をはじめる方、増えているみたいです。

自宅で過ごす時間が増えたことも関係があるのかな。

今回は、ヴァイオリンを弾く方におすすめの本の紹介です。

 

 

 

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ブレシアの先駆者たち ガスパロ・ダ・サロ以前

ヴァイオリン製作におけるブレシア派の創始者、ガスパロ・ダ・サロは、出身地のサロにいる間に家族から弦楽器の演奏や製作の訓練を受けていたと考えられます。ではガスパロが移住する前のブレシアの状況はどうだったのでしょう。

  • ミケーリ家
  •  シターン
  •  ヴィルキ家
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ガスパロ・ダ・サロ 〜サロの街とベルトロッティ家〜

Alessandro Vecchi •  Panorama di Salò 2011  CC BY-SA 3.0

    クレモナには、おそらくアンドレア・アマティが修業をしていたであろうマルティネンゴの工房ができる以前、楽器工房(として正式に登録されたもの)はありませんでした。マルティネンゴの工房も古物商(金融業)の事業の一部だったようです。

    当時、弦楽器そして鍵盤楽器製作が盛んだったのがブレシアでした。ルネサンスの芸術家達のパトロンだったイザベラ・デステが、ヴィオールのコンソートをブレシアの製作者に依頼したというのが1495年ですから、ブレシアでは15世紀から楽器製作が行われていたという事になります。

    そのブレシアで本格的にヴァイオリン製作を始めたのが、サロ出身の製作者ガスパロ・ベルトロッティ、通称ガスパロ・ダ・サロでした。

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「耳をすませば」 ヴァイオリン職人を目指す少年が出てくる!

珈琲ブレイク

ふと思い出して、アニメ「耳をすませば」を視た。

 

1995年の映画。

Windows95が出た年。

パソコンはまだ一部の人たちのもので、スマホの登場もまだという頃。

主人公のお姉さんが使っていたのはワープロだと思う。

 

主人公たちは図書館で本を借り、勉強し、調べ物をする。

本に付いている貸し出し用の図書カードには借りた人の名前が並んでいる。

ちょっと時代を感じる。

 

思い出して、また見ようと思ったのは

ヴァイオリン職人を目指す少年(天沢聖司)が出てくるから。

ヒロインの中学生、月島雫の相手役。

 

ヴァイオリン職人という言葉は、あまり馴染めない。

でも他にぴったりする言葉も見つからない、ような気がする。

ヴァイオリンだけでなくて、ヴィオラやチェロなども扱うし、

ベース専門、古楽器専門、の人もいる。

全部ひっくるめた言葉があればいいのに。

弦楽器職人というのが意味的には無難かと思う。

でも、何かカタすぎる。

 

「耳をすませば」には原作の漫画があって、

そこでは天沢聖司はヴァイオリン職人ではなくて

画家を目指しているらしい(まだ読んでないのです、ごめんなさい)。

ヴァイオリン職人にしたのは何故だろう?

たしかに映画的には音楽関係の方が合っているようにも思うけど。

 

演奏シーンには、ちょっとビックリした。

ヴァイオリンやヴィオールを弾く少年やおじいちゃん達の腕や手首の動き、

弦を押さえる手指の力の入り具合みたいなものが、

しっかり描かれていた。

本当にちゃんと弾けるひとの動き。

 

ヴァイオリンを作る場面はもう少し有ってほしかった。

作業台や製作途中の楽器も、もっと見せてほしかった。

本筋じゃないから仕方ないのかもしれない。

ここではヴァイオリン関係に注目してるけど

ヴァイオリン職人の世界のお話ではないので。

 

進路に悩む、ファンタジー好きの中学生ヒロインを描く青春映画。

ヒロイン雫は、

真っ直ぐにヴァイオリン職人を目指す聖司と知り合い

自分の道を模索しゆく。。。

 

 

 

最後に。

ヴァイオリン職人に興味を持ったあなた、

イタリアはクレモナへの留学に関心のわいたあなたへ。

クレモナのヴァイオリン製作学校は実在の公立の中等教育機関です。

日本からの出願は18歳以上、

授業はイタリア語、だそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

年輪年代学とヴァイオリン

 

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"Tree Rings" by pellaea is licensed under CC BY 2.0

   およそ450年前、アンドレア・アマティはフランス王シャルル9世のためにヴァイオリン(とヴァイオリン属の楽器)を作りました。そのヴァイオリンは、ヴァイオリンと呼ばれた楽器の集大成とも完成形とも言えるものでした。ストラディヴァリが生まれる80年以上前のことです。美しい装飾の施された楽器は現在も残っています。残されたもの全てではありませんが演奏可能です。

本当に?そんなに古い楽器が?本物なの?「テセウスの船」だったりしないの?こんな疑問が湧いたりしないでしょうか。

それらの楽器がどうして「それ」とわかるのでしょう。

 

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「シャルル9世のヴァイオリン」以前

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左から マティアス・グリューネヴァルト イーゼンハイム祭壇画 1511〜1515頃/ペルジーノ アンヌンツィアータ 大聖堂のための祭壇画 1510/ガウデンツィオ・フェラーリ 奏楽天使 1535

 

   絵画や古文書の中にヴァイオリンらしいものが現れるのは、現存する楽器が作られた年代よりもう少し遡ります。描かれた楽器や文書の記述のどの辺りから「ヴァイオリン」と考えられるのか難しいところです。

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フランス王室のヴァイオリニスト

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 アマティ家は3代にわたってフランス王室のために楽器を作りました。国王の紋章やモットーなどが美しく描かれた楽器です。そのうちのいくつかは現存していて博物館などに保存されています。では、フランス王室はどこでアマティ家の楽器のことを知ったのでしょう。フランス国内でもなく、古くから楽器製作が行われていたわけでもない北イタリアはクレモナの製作者のことを、どうして知ったのでしょう。

 

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